敷金の返還と原状回復の負担の計算
敷金と工事の金額、直すところ、住んだ年数を入れると、借主が負担する額と返ってくる敷金の目安を計算します。国土交通省のガイドラインでは、クロスなら6年、流し台なら5年といった耐用年数で価値が下がっていき、年数が経つほど借主の負担が小さくなります。
くわしい条件を変える(なくても計算できます)
計算方法
借主が負担する割合 = 入居したときの状態 ×(1 − 住んだ年数 ÷ 耐用年数)、借主が負担する額 = 工事の金額 × 負担する割合 × 借主の責任の割合
例:クロス(耐用年数6年)の張り替えが5万円で、住んだ年数が3年なら、1 − 3 ÷ 6 = 50%が借主の負担で、2万5,000円です。6年住んでいれば負担する割合は0%になり、残る価値の1円だけになります。
返ってくる敷金 = 敷金 − 借主が負担する額 − 未払いの家賃など
直すところごとの耐用年数
| 直すところ | 耐用年数 | 負担の考え方 |
|---|---|---|
| 壁や天井のクロス(壁紙) | 6年 | 6年で残存価値1円となるように負担割合を計算します。 |
| クッションフロア | 6年 | 6年で残存価値1円となるように負担割合を計算します。 |
| カーペット | 6年 | 6年で残存価値1円となるように負担割合を計算します。 |
| 畳床(畳のしん) | 6年 | 6年で残存価値1円となるように負担割合を計算します。 |
| 畳表(畳の表面) | 年数を考えない | 消耗品に近いもので、減価償却の資産になじまないため、年数を考えません。 |
| 襖紙・障子紙 | 年数を考えない | 消耗品のため、年数を考えません。 |
| 襖や障子の建具の部分・柱 | 年数を考えない | 年数を考えません。年数を考える場合は、建物の耐用年数で計算します。 |
| フローリングの部分の補修 | 年数を考えない | 部分の補修では年数を考えません。 |
| フローリングの全体の張り替え | 建物の耐用年数 | 床の全体にわたる傷みで全部を張り替えたときは、建物の耐用年数で計算します。 |
| 流し台 | 5年 | 耐用年数5年で残存価値1円となるように計算します。 |
| エアコン・ストーブなどの冷房用・暖房用の機器 | 6年 | 耐用年数6年で計算します。冷蔵庫・ガスレンジ・インターホンも6年です。 |
| 金属製ではない家具(書棚・たんす・戸棚など) | 8年 | 耐用年数8年で計算します。 |
| 便器・洗面台などの給排水・衛生設備 | 15年 | 耐用年数15年で計算します。金属製の器具・備品も15年です。 |
| ユニットバス・浴槽・下駄箱(建物と一体のもの) | 建物の耐用年数 | 建物と切り分けられないため、建物の耐用年数で計算します。 |
| 鍵の紛失による交換 | 年数を考えない | 年数を考えず、交換にかかる費用の全額が借主の負担です。 |
| ハウスクリーニング(ふだんの清掃をしていなかったとき) | 年数を考えない | 年数を考えません。ふだんの清掃をしていた場合は、貸主の負担です。 |
畳表や襖紙のような消耗品、フローリングの部分の補修、鍵の紛失、ふだんの清掃をしていなかったときのクリーニングは、年数を考えません。
建物の耐用年数を使うもの
| 建物の構造 | 耐用年数 |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造の住宅 | 22年 |
| 木骨モルタル造の住宅 | 20年 |
| 鉄骨造の住宅(骨組みの厚さ4mm超) | 34年 |
| 鉄骨造の住宅(骨組みの厚さ3mm超4mm以下) | 27年 |
| れんが造・石造・ブロック造の住宅 | 38年 |
| 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅 | 47年 |
ユニットバスや浴槽、下駄箱のように建物と一体のもの、フローリングの全体の張り替えは、建物の耐用年数で計算します。
どちらが負担するか
| 貸主が負担するとされているもの | 借主が負担するとされているもの |
|---|---|
| 日光や時間の経過でクロスや畳の色が変わったもの | 引っ越しの作業でできたひっかき傷 |
| 家具を置いたことでできた床のくぼみ | 飲み物をこぼしたまま手入れをせずにできたカーペットの染みやカビ |
| テレビや冷蔵庫の裏の壁の黒い跡(電気ヤケ) | タバコのヤニや臭いが部屋全体に付いたクロス |
| 画びょうやピンの穴(下地のボードの張り替えが要らない程度のもの) | ペットが付けた柱や壁のきず・臭い |
| エアコンを設置したときのビス穴・跡 | 手入れをしなかったために生じた台所の油汚れ・水回りのカビ |
| 次の入居者を決めるためのハウスクリーニング(ふだんの清掃をしていた場合) | くぎやねじの穴(下地のボードの張り替えが要る大きさのもの) |
| 壁に貼ったポスターの跡や、日焼けによる変色 | 鍵の紛失や、鍵を壊したときの交換 |
ガイドラインの考え方による目安です。実際の負担は契約内容と話し合いで決まります。もめたときは消費生活センターに相談できます。
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版・平成23年8月)本文および別表2(2026年9月24日確認)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のダウンロードページ(2026年9月24日確認)、民法 第621条(賃借人の原状回復義務)・第622条の2(敷金)(e-Gov法令検索、2026年9月24日確認)、国税庁 耐用年数表について(建物・建物附属設備の耐用年数、2026年9月24日確認)
よくある質問
敷金はどこまで返ってくる?
未払いの家賃などを引いた残りは返ってきます(民法第622条の2)。原状回復の費用として引けるのは、借主のわざとの行為や不注意で傷めた分だけです。日光による色の変化や家具のくぼみのように、ふつうに住んでいれば起きるものは貸主の負担です。
6年住んだらクロスの張り替え代は払わなくてよい?
ガイドラインの考え方では、クロスの耐用年数は6年なので、6年住むと残る価値は1円までになります。ただし、わざと落書きをしたような場合は、消すための費用がかかることがあります。
ハウスクリーニング代を取られるのは正しい?
ふだんの清掃(ゴミの片づけ、掃き掃除、拭き掃除、水回りや換気扇の油汚れの除去)をしていた場合は、次の入居者を決めるためのものなので貸主の負担とされています。契約書に特約があるときは、その内容によります。
鍵をなくしたらいくら払う?
年数を考えず、交換にかかる費用の全額が借主の負担とされています。シリンダーの交換も含みます。
タバコのヤニは借主の負担?
喫煙によって部屋全体のクロスが変色したり臭いが付いた場合は、その部屋全体のクリーニングまたは張り替えの費用を借主が負担するのが妥当とされています。
話がまとまらないときはどうする?
住んでいる自治体の消費生活センターに相談できます。入居時と退去時のチェックリストや写真があると、話し合いが進みやすくなります。