固定残業代(みなし残業代)の検証
月給の総額と固定残業代の額、実際の残業時間を入れると、固定残業代が何時間分にあたるかと、足りない残業代がいくらかを出します。求人票の金額を確かめるときにも使えます。
くわしい条件を変える(なくても計算できます)
不足があるとわかったときの手順
- 確認 雇用契約書や求人票に書かれた固定残業時間・金額と、この計算結果を照らし合わせます
- 相談 差があるときは、給与担当や上司に計算のもとになった時間を確認します
- 明示がないとき 基本給の額と固定残業代の内訳を示すよう会社に求めます
- 解決しないとき 会社の所在地を管轄する労働基準監督署の窓口で相談します
計算方法
固定残業代を除いた基本の賃金 = 月給の総額 − 固定残業代 − 計算に入れない手当、1時間あたりの賃金 = 基本の賃金 ÷ 1か月の所定労働時間、固定残業代が何時間分か = 固定残業代 ÷(1時間あたりの賃金 × 1.25)
例:月給30万円のうち固定残業代が5万円、1か月の所定労働時間が160時間なら、基本の賃金は25万円、1時間あたりは1,562.5円です。固定残業代5万円は、時間外 5万円 ÷(1,562.5円 × 1.25)= 25.6時間分にあたります。実際の残業が30時間なら、必要な割増賃金は58,594円で、8,594円足りません。
固定残業代のきまり
厚生労働省は、固定残業代について次のように説明しています。
- 通常の労働時間の賃金にあたる部分と、割増賃金にあたる部分を見分けられるようにすること
- 割増賃金にあたる部分が、労働基準法37条の方法で計算した割増賃金より少ないときは、その差額を払うこと
求人票や募集要項に固定残業代を書くときは、次の3つをすべて示すことになっています。固定残業代を除いた基本給の額、固定残業代の金額と何時間分かの計算方法、固定残業時間を超えた分の割増賃金を追加で払うことです。
何時間分まで置けるか
時間外労働の限度時間は、1か月45時間・1年360時間です(労働基準法36条3項)。臨時的な特別の事情があって特別条項を結んだ場合でも、時間外労働と休日労働を合わせて1か月100時間未満、1年の時間外労働は720時間以内です。45時間を超えられるのは年6か月までです。
割増賃金の計算のもとになる賃金には、通勤手当・家族手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時の賃金・1か月を超える期間ごとに払われる賃金を入れません(労働基準法施行規則21条)。
出典:厚生労働省 確かめよう労働条件 基本給に含めた割増賃金って何?、厚生労働省 固定残業代制を採用する場合の明示(リーフレット)、労働基準法 36条・37条(e-Gov法令検索)、労働基準法施行規則 19条・21条(e-Gov法令検索)
よくある質問
固定残業代が何時間分かはどう調べる?
固定残業代を「1時間あたりの賃金 × 1.25」で割ります。1時間あたりの賃金は、固定残業代を除いた基本の賃金を1か月の所定労働時間で割って出します。
固定残業時間を超えて働いたらどうなる?
超えた分の割増賃金は、別に払われます。固定残業代を払っていても、実際の割増賃金がその額を上回れば、差額の支払いが必要です。
固定残業代の分だけ働かなかったら返す?
返しません。固定残業代は、実際の残業が少なくても、決めた額をそのまま払う仕組みです。
固定残業代45時間分は問題ない?
時間外労働の限度時間は1か月45時間・1年360時間です。45時間分の固定残業代は、毎月この上限まで働くことを前提にした形になります。働き方と合っているか、会社に確かめてください。
求人票の月給に固定残業代が含まれているか見分けるには?
求人票には、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の額と何時間分か、超えた分は追加で払うこと、の3つを示すことになっています。書かれていないときは、応募の前に確かめてください。
足りない残業代はどこに相談する?
お住まいの地域の労働基準監督署に相談できます。給与明細・タイムカード・就業規則・雇用契約書など、働いた時間と賃金がわかるものを用意しておくと話が進みやすくなります。